京都の中心にある六角堂(紫雲山頂法寺)の見どころを徹底解説!

六角堂は正式名称を「紫雲山頂法寺」といい、聖徳太子による開山や生け花発祥の地として知られています。境内には六角の形をした本堂や縁結びの柳など見どころが多いです。

今回は京都の市街地で中心に位置する六角堂の見どころを徹底解説していきましょう。

京都の六角堂(紫雲山頂法寺)が誇る見どころ10選!

京都の市街地でもちょうど真ん中にある六角堂(紫雲山頂法寺)は、広さこそ大きくないものの、境内には多くの見どころがあります。六角堂観光でぜひ注目したい見どころを10個ご紹介しましょう。

見どころ1:六角堂(本堂)

六角堂(本堂)

六角堂は境内のほぼ中心にある建物です。同時に名前の通り、建物の形状が六角形になっています。六角形は「六根清浄」を意味し、「眼・耳・鼻・舌・身・意」が清められて円満になることを願う意味です。

現在の建物は明治時代の1887年に再建されました。堂内には聖徳太子が持ち歩いていたとされる如意輪観音坐像が秘仏として安置されています。両側には毘沙門天立像と地蔵菩薩像が脇侍として安置され、毘沙門天立像は重要文化財です。

見どころ2:太子堂(開山堂)

太子堂(開山堂)の画像

本堂の北、池のほとりにあるお堂で、六角堂を開いた聖徳太子が祀られています。内部に3つある太子の像は「二歳像」・「十六歳像」・「騎馬像」で、彼の生涯を物語るものです。

二歳像は「南無仏」と唱えるさまを、十六歳像は父・用明天皇の病気回復を祈るさまを題材にしています。そして騎馬像は、物部守屋を討伐する際の姿を表したものです。

太子堂は平安時代以降に太子信仰が広まった際、布教拠点の1つとなりました。なお近くにある池は、太子が開山する際に沐浴した場所です。後に「池坊」と呼ばれる僧坊が設けられ、華道の一大流派・池坊の由来になったとされています。

見どころ3:親鸞堂

親鸞堂の画像

本堂の東に位置するお堂で、浄土真宗の開祖・親鸞聖人が籠ったエピソードのある建物です。比叡山にて修行する中で悟りに至らなかったことや、恋愛での悩みがあったことをきっかけで、六角堂で夢のお告げで得られると聞き、100日間瞑想する日々を送りました。

95日目に夢で聖徳太子のお告げを得た結果、浄土宗を広めていた法然上人への弟子入りを決意し、恋の悩みも解決します。浄土真宗は現在でも日本で最大の仏教宗派であるため、仏教の歴史が大きく変わった場所といえるでしょう。

内部には2体の親鸞聖人像があります。1体は比叡山から六角堂に向かう様子を、もう1体はお告げを受けているところを表したものです。

見どころ4:石不動

石不動の画像

山門をくぐって左側にあります。名前に「不動」と付くように、不動明王が祀られている建物です。

同時に石造・木造の不動明王像もあり、怒りに満ちた印象的な形相をしています。彼の形相は邪念や煩悩を断ち切るためのものです。悩みや苦しみなどがあるときにお参りしてはいかがでしょうか。

見どころ5:へそ石

へそ石の画像

本堂と親鸞堂の間にあるくぼみの付いた石です。もともと門前を通る六角通りにあったものを、明治時代に現在地に移しました。「へそ」と付くのは、移転前の場所が京都の中心に位置したとされるためです。

またへそ石は、別名「本堂古跡の石」とも呼ばれています。平安京に遷都する際、本堂のあった場所に道を通すことになり、無事に通せるよう祈ったところ本堂が勝手に動き、ただ1つ柱の跡が残ったという逸話によるものです。

見どころ6:唐崎社

境内の一番南東にある末社で、琵琶湖のほとりにある唐崎神社の御祭神・唐崎明神が祀られています。唐崎明神は聖徳太子が六角堂を建立する際、老人の姿で木材の場所を教えたとされる存在です。

唐崎社には唐崎明神以外にも、八坂神社のスサノオノミコトや北野天満宮の天神(菅原道真)も祀られています。ご利益の面でも安産や縁結び、学問などがあるため、ぜひお参りするとよいでしょう。

見どころ7:鐘楼

六角堂の鐘楼の画像

六角堂も仏教寺院であるため、鐘楼はあります。しかしほかの仏教寺院と異なり、本堂から少し離れた飛び地に設置されている点で独特です。

戦国時代に街中で戦が起こりそうになると鐘を鳴らして知らせたとされています。なお飛び地に移されたのは、戦乱が終わり太平の世になった江戸時代のことです。

見どころ8:縁結びの六角柳

縁結びの六角柳の画像

本堂の手前に植わっています。実は縁結びと深いゆかりがある柳です。

平安時代初期に嵯峨天皇が后に迎える女性を探していた際、夢で如意輪観音から「六角堂の柳を見てみなさい」という導きを受けました。天皇が示された柳に向かうと、木の下に美しい女性がいたため、妃に迎えられたという内容です。

なお嵯峨天皇の逸話から、六角堂は縁結びのご利益があることで知られるようになりました。出会いや恋の実りを祈りたい場合は六角堂を訪れるのがオススメです。

見どころ9:境内の石仏

十六羅漢像

境内には多くの石仏が立ち並んでいます。池のほとりにお釈迦様の高弟をモデルにした十六羅漢像、本堂の西側には赤いよだれかけを身に付けた地蔵像、境内東側には一言願い地蔵(合掌地蔵)などです。

一言願い地蔵(合掌地蔵)の画像

一言願い地蔵(合掌地蔵)

とくに一言願い地蔵は、実際にお願い事を聞き叶えてくれることで知られています。ただしお願いをする際は、必ず1つだけに絞ることが大切です。2つ以上のお願いは欲張りすぎということで聞かれないとされています。

なお一言願い地蔵は、目をつむったままで首を傾けているさまが特徴です。聞いたお願いを叶えるかどうか考えている様子を表しているとされています。

見どころ10:生け花発祥の地

六角堂は生け花(華道)発祥の地として有名です。生け花は室町時代中期に活躍した池坊専慶が大成しました。そして専慶は六角堂の住職を代々務め、現在も華道の家元である池坊の出身です。

六角堂の近くには華道・池坊流の本部である池坊会館があり、華道展や花供養など華道関係のイベントが年中行われています。お花好きな人には、六角堂一帯はオススメでしょう。

なお六角堂と華道の関係については、もう1つの逸話があります。六角堂の初代住職が遣隋使を務めた小野妹子で、彼が日々仏前に供えた花の生け方が、長い年月をかけて研究されいけばなが生まれたというものです。真相はともかく、六角堂と生け花が密接に関わっているのは確かでしょう。

六角堂の生け花画像

六角堂のインスピレーション動画はこちら

飛鳥時代から続く六角堂(京都 紫雲山 頂法寺)の歴史・豆知識

六角堂の歴史は非常に長く、開基が飛鳥時代とさえいわれています。訪れる際に六角堂の辿った歴史や豆知識を知っておくと、現地観光でより伝統を感じられるでしょう。

聖徳太子により開かれた京都最古級の寺院

六角堂は飛鳥時代の587年に聖徳太子によって創建されたと伝わります。太子が大和を離れて各地を巡っていた際、如意輪観音の像を肌身離さず持ち歩いていました。現在の京都のとある池で沐浴して身を清めた後、近くの木にかけた観音像を取ろうとしたところ、重さがかかって持ち上げられません。

すると観音像から、「ここで人を救う」という声が聞こえました。声を聞いた太子は池の近くにお堂を建て、観音像を安置します。そして初代住職には、太子に仕え遣隋使を務めた小野妹子が出家後に着任しました。

飛鳥時代の時点で京都に開かれていた寺院は多くありません。六角堂は京都最古級の寺院といえるでしょう。

鎌倉時代には親鸞聖人の人生を決定づける

平安時代になり都が京都に遷ると、六角堂には貴族や庶民が多く訪れる観音霊場として繁栄します。宗派も最澄が中国から伝えた天台宗になりました。

鎌倉時代の1201年には、後に浄土真宗を開く親鸞聖人が百日参篭を行います。当時比叡山延暦寺で修行に励んでいた彼は、修行の限界や恋愛面で深く悩んでいる状態でした。悩みを払拭するべく、夢のお告げで知られる六角堂にこもり導きを受けようとします。

100日が迫った95日目の夜、夢に聖徳太子が現れました。太子も結婚していたことを示され、加えて四句の偈文(仏を讃える詩)を授かったため、親鸞聖人は浄土宗を広めていた法然上人に弟子入りすることになります。

観音霊場や地域住民の自治の場に

室町時代になると、六角堂は観音霊場であると同時に地域住民の自治の場として活用されるようになりました。都の市街地でも中心に位置していたことが大きな理由です。加えて池坊専慶によって、生け花も大成されました。

応仁の乱を経て戦国時代に突入すると、都の市街地も頻繁に戦に巻き込まれることとなります。市街地で戦乱が発生しそうになると、六角堂は鐘を鳴らして地域住民が避難できるように知らせる役割を果たしました。

戦乱が収まり平和な時代になった江戸時代以降も、六角堂は引き続き観音霊場と地域自治の場として多くの人々が訪れたり活用したりしました。そして京都の街並みを見守りながら、今日にいたっています。

六角堂(紫雲山頂法寺)と鳩の関係

鳩関連の授与品

六角堂の境内を歩くと、実に多くの鳩が歩き回っている風景を見られるでしょう。六角堂は京都の寺社仏閣でも鳩スポットとして知られています。授与品にも鳩関係のものが多いため、鳩との密接な関係を肌で感じられるでしょう。

人懐っこい鳩

六角堂は境内に多くの鳩がやってくることで有名です。鳩は周りが囲まれているところを好む習性があります。六角堂は三方を高いビルに囲まれている立地になっているため、鳩にとって安全に過ごすうえで最高の環境です。

加えて六角堂にやってくる鳩は、人間慣れしている特徴があります。参拝の際に鳩に近寄っても逃げられることがないため、かわいい姿を間近で見られるでしょう。また鳩に餌をやるときも、まるで奈良公園に生息する鹿のように向こうから近寄ってくるため、ほっこりした一時を過ごせます。

おみくじなど鳩関連の授与品もある

六角堂では非常に多くの鳩が見られるため、納経所でも鳩をモチーフにしたお守りやおみくじが多いです。鳩は単に六角堂の名物であるだけでなく、古くから平和の象徴や幸せを運ぶ鳥とみなされています。六角堂にある鳩をモチーフにした授与品が扱われていることは、拝観者の幸せや安寧を願う意味も大きいです。

具体的には鳩みくじや願掛け鳩、鳩の絵馬など種類がいろいろあります。とくに鳩みくじは六角堂の名物授与品として名高いため、拝観の際はぜひ引いてみてください。

鳩にもゆかりがある!六角堂(紫雲山頂法寺)の御朱印やお守りをご紹介!

六角堂にいる鳩

六角堂は京都市内でも有名な仏教寺院であるだけに、御朱印やお守りも扱っています。種類もさまざまであるため、とくに御朱印やお守りをいただくのが楽しみという人にとって耳寄りに感じるでしょう。

すべてで5種類ある御朱印

六角堂の御朱印はすべてで5種類です。詳細は以下のようになっています。

  • ご本尊の御朱印:墨書「奉拝 六角堂頂法寺」、印「西国十八番」・観世音観音(梵字)・「六角堂」
  • 御詠歌の御朱印:墨書「わが思う 心のうちは 六の角 ただ円かれと 祈るなりけり」、印「西国十八番」・観世音観音(梵字)・「六角堂」
  • 洛陽三十三所の御朱印:墨書「奉拝 六角堂 頂法寺」、印「洛陽一番」・観世音観音(梵字)・「六角堂」
  • 太子守本尊の御朱印:墨書「奉拝 太子守本尊 六角堂 頂法寺」、印「聖徳太子御遺跡二十五番」・へそ石と鳩・「六角堂」
  • 石不動尊の御朱印:墨書「奉拝 太子守本尊 六角堂 頂法寺」、印「紫雲山」・観世音観音(梵字)・「六角堂」

御朱印1.2.3の画像

御朱印4.5の画像

なお御朱印は、白衣にいただけるものは200円、ほかは300円です。本堂にある納経所で8:00~17:00にいただけます。

御朱印帳もいただける

六角堂にはオリジナルの御朱印帳もある点でオススメです。種類は1種類、色は赤と青の2色になっています。

デザインは菊の花に、金の六角紋が入っているものです。一番左の上側は白紙部分で、「御朱印帳」などタイトルを書き込めます。

六角堂オリジナル御朱印帳の画像

鳩をモチーフにしたお守りも!

六角堂は御朱印のほかにも、お守りも豊富です。とくに鳩をモチーフにしたものの多いのがポイントといえます。

鳩みくじ

鳩みくじ画像
六角堂の授与品で代表的なもので、素焼きで羽の部分が水色です。また胸には、六角堂を表す六角紋が描かれています。

値段は1つ300円で、下のくぼみにはおみくじが挟まっているものです。おみくじの内容は漢文で書かれているものの、下に書き下し文もあるために大まかな意味を掴めるでしょう。なお鳩の人形は、家に持ち帰って飾っても大丈夫です。

ちなみに春と秋には、期間限定でピンク色や黄色など別色のものもいただけます。レアさのある鳩みくじを狙いたい人は、春や秋に訪れるのがオススメです。

六角堂一願成就(願掛け鳩)

六角堂一願成就(願掛け鳩)の画像

ご本尊である如意輪観世音菩薩に何としても叶えてもらいたいお願いをするためのお守りで、1つ500円でいただけます。鳩がモチーフで、色は白色とピンク色の2種類です。

専用の紙にお願いを書き、お守りの中に入れた後で奉納します。一押しのお願いがある場合にオススメです。

幸運恋みくじ

嵯峨天皇の妃探しの故事から縁結びのご利益で知られている六角堂らしいお守りといえます。加えてモチーフも鳩であるため、なおさら六角堂にお参りした実感が沸くでしょう。

大きさも携帯ストラップと同じくらいであるため、スマホやポーチなどに身に付けて肌身離さず持ち歩けます。恋人と一緒におそろいで身につけると、より恋が実りやすくなるでしょう。

銀杏お守り

銀杏お守りの画像
境内にあるイチョウがつける実で作ったお守りです。イチョウの木は生命力が強いとされるため、無病息災や安産、健康長寿など健康関係のご利益があるとされています。

持病がある人や出産を控えている人、今後も健康に過ごせるように願う人にとってオススメのお守りです。とくに安産を願う人は、境内の唐崎社にお参りした上でいただくと、より安心して出産に臨めるでしょう。

六角堂(紫雲山頂法寺)へのアクセスを紹介!

六角堂は京都の市街地でも中心に位置している分、非常にアクセスに恵まれています。最後に六角堂へのアクセス手段を見ていきましょう。

電車利用の場合

電車を利用する場合は、

京都駅からの場合
地下鉄烏丸線国際会館方面で3つ目の烏丸御池駅が最寄りです。5番出口を経由し、烏丸通りを京都駅方面に進み、2つ目の角で六角通りにぶつかります。左折すれば左手に見えるのが六角堂で、京都駅からの所要時間は約10分、運賃は220円です。
大阪などから阪急線を利用する場合
烏丸駅からアクセス可。21番出口を出て烏丸通りを京都御所方面に歩くと、3つ目の角で六角通りに右折です。所要時間は5分程度になります。

バス利用の場合

京都駅からバスを利用する場合は、京都市バスの5系統(四条烏丸にとまらないこともあり)・26系統・101系統がオススメです。烏丸口のバスターミナル A1(5系統)、D3(26系統)、B2(101系統)から乗車し、各系統の四条烏丸バス停で下車します。以下の地図のように烏丸通りを北へ進みます。乗車時間は約10分、運賃は230円になっています。

タクシー・車利用の場合

京都駅からタクシーを利用する場合
烏丸口のタクシーのりばから乗車すると約12分で六角堂に到着です。運賃は1,090円で、一緒に乗る人数が多いほど1人分の料金が安くなります。
車を利用する場合
・東京・名古屋方面から京都東インター
・大阪や九州方面から
京都南インター
の経由がオススメです。京都東インターからは国道1号線で大阪方面に進み、烏丸五条交差点で烏丸通りに右折します。右折後はしばらく進み、烏丸六角交差点で右折すればすぐです。所要時間は約32分かかります。・京都南インターを経由する場合も、国道1号線と烏丸通りを利用するルートです。国道1号線を大津方面に進み烏丸五条交差点で左折、しばらく直進後に烏丸六角交差点で右折します。なお所要時間は約31分です。

駐車場情報

六角堂までは車を利用しても来やすいものの、やはり駐車場情報は気になりますよね。六角堂に専用駐車場はありません。代わりに周辺に有料駐車場があります。

中でもオススメの駐車場がすぐ近くにある六角堂南駐車場で、最初の1時間が600円、以降が30分で300円、1日3,500円です。利用可能時間も8:00~22:00で比較的長時間利用しやすくなっています。

ほかにも東側には三条東洞院パーキングがあり24時間利用可能です。料金は20分200円で、六角堂南駐車場と同じくらいになっています。

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