石庭で有名な龍安寺の見どころをご紹介!歴史や御朱印も解説!

龍安寺

金閣寺などがある北山エリアでも、石庭がある場所として有名なのが臨済宗妙心寺派寺院の龍安寺(りょうあんじ)です。しかし龍安寺の見どころは、石庭だけではありません。石庭以外にも見どころがあるといわれると気になりますよね。

今回は石庭でおなじみの龍安寺の見どころを、歴史や御朱印とともに見ていきます。

石庭にとどまらない龍安寺の見どころ6選!

龍安寺の石段

龍安寺で見どころといえば、石庭がイメージしやすいでしょう。しかし龍安寺の見どころは石庭だけではありません。石庭を含めた境内の見どころを6ヶ所ご紹介します。

龍安寺の見どころ1:世界的に有名な石庭(方丈庭園)

龍安寺の有名な石庭(方丈庭園)

斜めから見た龍安寺の石庭(方丈庭園)

ミニ石庭

目の不自由な方に用意された点字のついたミニ石庭

石庭は龍安寺の代名詞といえる存在です。正式には「方丈庭園」と呼ばれ、本堂である方丈のすぐ隣にある75坪の枯山水式庭園になっています。大きさの異なる15個の石や砂で構成されているのが特徴です。

1499年に龍安寺が再建された際に作庭されたものの、誰の手によるものなのかは現在も謎に包まれています。なお15個の石は、織田信長の祖父・信定が持ち込みました。

石庭に込められた意味も謎で、東洋の完全数である15や虎の親子が川を渡るさま、禅宗の宇宙観など諸説あります。加えてもつ意味によって、「七五三の庭」や「虎の子渡しの庭」の別称で呼ばれることも多いです。いずれにせよ解釈は見る者次第であるため、じっくり見て自分なりに考える上でオススメでしょう。

なお石庭は、手前から奥へ低く見える点や左奥に傾斜が見られる点も見どころといえます。奥行きを持たせたり、排水しやすくしたりするための見事な工夫もぜひ注目してみてください。

龍安寺の見どころ2:見ごたえある襖絵や天井画がある方丈

龍安寺の方丈

石庭のすぐ隣にある建物で、龍安寺の本堂になっています。江戸時代の1606年に、織田信長の弟・信包(のぶかね)が建立しました。1797年に火災で焼失し、境内にある塔頭寺院・西源院の建物を移築して現在にいたっています。

最大の見どころは内部の襖絵です。皐月鶴翁氏が描いた「臥龍梅」や、朝鮮半島の金剛山がダイナミックに描かれています。

なお明治時代の廃仏毀釈で失われたものの、長い時間を経て龍安寺に戻ってきた襖絵もあり、特別公開で見ることも可能です。2019年1月から6月に安土桃山時代の狩野派、または海北(かいほう)派が描いた『芭蕉図』が展示されていたこともあるため、特別公開期間を狙って拝観するのもオススメでしょう。

龍安寺の見どころ3:仏教や茶道の神髄に触れられるつくばい(蹲)

龍安寺のつくばい(蹲)

石庭から方丈をはさんで反対側、茶室蔵六庵の隣にあります。つくばいは本来、茶室に入る前に手を清める際に使う石製の鉢です。

龍安寺にあるつくばいは、江戸時代中期に水戸藩主・水戸光圀が寄進したとされています。真ん中は真四角(「口」の字)になっており、周りには上から時計回りに「五・隹・疋・矢」の各字が配置されているのが特徴です。各字と口を組み合わせて読んでいくと、「吾唯足知=われただたるをしる」と読めます。

「吾唯足知」は仏教や茶道の神髄に通じる言葉です。「欲深にならずに、自分が十分に満ち足りていることを自覚する」という意味があります。静かな庭に置かれたつくばいをじっくり眺めながら、日頃の行いや心持ちなどを振り返るにはよい場所でしょう。

龍安寺の見どころ4: 日本最古の椿である侘助椿

つくばいの隣には侘助椿と呼ばれる椿が植えられています。日本最古の椿とされ、名前の由来も侘助という人物が朝鮮半島から持ち帰ったという説が有力です。

豊臣秀吉や千利休が賞賛したもので、春先になればまだら模様で一重の美しい花を咲かせます。鏡容池の桜とともに、春の龍安寺拝観で楽しみといえる存在でしょう。

龍安寺の見どころ5: スイレンなど四季折々の景色が見られる鏡容池

龍安寺の鏡容池

龍安寺の鏡容池 スイレン

スイレン

山門から方丈に向かう途中にある大きな池で、境内全体の3分の1を占めます。平安時代に円融寺とともに作られた池で、貴族が舟遊びを行う場になっていました。また江戸時代にはオシドリの名所としても知られ、現在でもカモやサギなどが池で静かにたたずんでいます。

年中季節によりさまざまな景色が見られ、春の桜や秋の紅葉などが風物詩です。とくに5月から7月にかけて池全体でスイレンが咲き乱れるさまは、最もオススメといえます。

龍安寺の見どころ6:エリザベス女王がくぐった勅使門

龍安寺の勅使門

方丈を出て右に折れたところに見える門です。現在のものは1797年の火事で焼失後、西源院の唐門を移築する形で再建されました。1975年にエリザベス女王が拝観した際、女王が中に入るために利用されています。

名前の通り、本来は天皇の使者である勅使のみがくぐれる門であるため、普段は開いていません。ただ重要文化財で写真撮影はできるため、外から見て記念の1枚を残すとよいでしょう。

龍安寺が歩んだ歴史と豆知識を紹介!

石庭で有名な龍安寺は、創建前の分を含めるとずいぶん長い歴史を持っています。龍安寺の歴史や豆知識をご紹介しましょう。

応仁の乱で有名な細川勝元が創建

龍安寺は室町時代の1450年に、後の応仁の乱で東軍総大将となった細川勝元(当時の幕府管領)が創建しました。

龍安寺の敷地にはもともと、平安時代に建立された円融寺があり、円融寺が衰退した後は徳大寺家の山荘になります。そして室町時代になり、勝元が徳大寺家から土地を譲り受けて建立した流れです。なお初代住職には、妙心寺の僧・義天玄承(ぎてんげんしょう)が就任しました。

龍安寺は建立から20年も経ない1468年、応仁の乱の兵火で焼失します。乱が終結してしばらく経った1499年、勝元の子・政元と第4代住職の特芳禅傑(とくほうぜんけつ)が再建しました。有名な石庭も再建の際に作庭されています。安土桃山時代には織田信長や豊臣秀吉の庇護を受けました。

江戸時代には都の有名観光地に

江戸時代になると、龍安寺は京都有数の観光地として知られるようになります。とくに境内の鏡容池一帯はオシドリの名所として人気を集め、18世紀後期の旅行本にも紹介されたほどです。一方今でこそ最大の人気スポットである石庭は、鏡容池に比べるとあまり注目されない状態でした。

1797年には火災が発生し、主要な建物の多くが焼けてしまいます。方丈などを再建する際、境内の西源院から建物の移築が行われました。明治時代になると廃仏毀釈の影響を受けて、方丈の襖絵の多くが失われます。また1951年には豪雨で裏山が山崩れを起こし、被害を受けました。

エリザベス女王が石庭を絶賛

江戸時代からさまざまな困難に見舞われた龍安寺も、1975年5月にイギリスのエリザベス2世女王が訪日したことで注目されるようになります。彼女は京都にも足を運んで龍安寺を見学した際、石庭の素晴らしさを絶賛しました。

女王が石庭を絶賛する様子はイギリスのBBCにより報じられたため、世界中から多くの観光客が石庭を見ようと訪れるようになります。加えて1994年には、「古都京都の文化財」の構成遺産として、世界文化遺産に登録されました。今日では石庭を中心に京都観光で注目の的になっています。

龍安寺の豆知識:石庭にある石は必ず1個見えないように

龍安寺の豆知識として、石庭の石にまつわるものが有名です。石庭にはすべてで15個の石が置かれているものの、方向に関係なく1個は見えない仕様になっています。

一説では、15の数字が完全を意味するという東洋の考え方にもとづくのが理由です。1個少ない不完全を表す14個しか見えないようにすることで、自らの不完全さを自覚させる意図があるとされています。

龍安寺の独特な御朱印をいただこう

御朱印集めがブームになっている現在、龍安寺の御朱印もオススメです。龍安寺の御朱印や御朱印帳は独特なデザインであるため、手にしてみる価値があります。

墨書が「石庭」の御朱印

龍安寺の御朱印は墨書だけでも非常に独特です。多くの寺社仏閣では御朱印の墨書部分が寺社名や神仏の名前であるのが、龍安寺は真ん中に「石庭」を大書したものになっています。

加えて押印の部分も、つくばいにある「吾唯足知」を押されている点が注目です。押印に関しては他にも、龍安寺の山号である「大雲山」と「龍安禅寺」も押されます。御朱印の値段は300円です。

オリジナル御朱印帳もご紹介!

龍安寺には独特なデザインのオリジナル御朱印帳もあるため、興味があればぜひ欲しいところですよね。

御朱印帳はつくばいのものと、石庭のものがあります。つくばいのものは、紺色の地に金色で「吾唯足知」と「大雲山龍安寺」になっている仕様です。一方石庭のものは、ピンクの地に石や砂のデザインが施されています。

大きさはつくばいのものが一回り大きめです。値段は両方とも1,200円になっています。

御朱印・御朱印帳をいただける時間・場所

龍安寺で御朱印や御朱印帳は9:00~16:00に、庫裏の拝観受付でいただくことが可能です。ただし拝観客のみがいただける決まりのため、御朱印や御朱印帳を求めるのであれば先に拝観券の購入が必要になります。実際に払う金額も、御朱印や御朱印帳と拝観券の合計です。

龍安寺の基本情報をご案内!

実際に龍安寺を拝観したいと思う人もいますよね。龍安寺を拝観する際、拝観料などの基本情報は欠かせません。拝観料などを事前に知り、当日焦らないようにするとよいでしょう。

龍安寺の拝観料と拝観時間

拝観料

高校生以上 500円
小中学生 300円

※障害がある場合は割引が適用されます。受付で障害者手帳を提示すれば、本人と介護者1人の拝観料が無料です。

拝観時間

3~11月 8:00~17:00
12~2月 8:30~16:30

龍安寺の滞在時間や回り方

龍安寺の滞在時間は、おおむね30~40分程度です。回り方は山門をくぐり、一度鏡容池の右岸を通り、庫裏から方丈へ抜ければ石庭に至ります。

石庭からは方丈の縁側を時計回りすれば、方丈の襖絵やつくばい、侘助椿を見られる流れです。

庫裏から外に出た後は、右に折れ勅使門を右手に見ながら鏡容池沿いに反時計回りに進めば、池の周りの自然を堪能しながら山門へ戻ってこられます。

龍安寺へのアクセスをご紹介!

龍安寺を訪れる際、アクセス手段も気になりますよね。最後に京都駅から龍安寺に向かう際に、オススメのアクセス手段をご紹介します。主な方法がバスや電車、タクシー・車です。

バスを利用する場合

まず京都駅からバスを利用する場合は、烏丸口のバス乗り場から市バス50系統を利用し、「立命館大学前」バス停で下車します。バス停からは道沿いに嵐山方面へまっすぐ進めば、7分で龍安寺に到着です。京都駅からの所要時間は約30分、運賃は市内均一運賃で230円になります。

市バス以外にも、西日本JRバスを利用するのも1つの方法です。同じく烏丸口のJRバス乗り場から乗車し、「龍安寺口」バス停で下車すればすぐに着きます。所要時間や運賃は市バスと同じで約30分・230円です。

電車を利用する場合

京都駅から電車で龍安寺に向かう場合は、JR嵯峨野線(山陰本線)と京福電鉄の乗り換えを利用するとよいでしょう。まずJR嵯峨野線太秦(うずまさ)駅に移動します。

太秦駅からは近くにある京福電鉄北野線撮影所前駅に向かい、龍安寺駅まで行くルートです。龍安寺駅から山門までは、北へ歩けば7分で着けます。所要時間は約43分、運賃は420円です。

タクシーや車を利用する場合

タクシーを利用する場合は、烏丸口のタクシー乗り場から所要時間約30分、運賃約2,500円になります。複数人で利用するのがオススメです。

車を利用する場合は、名神高速の京都東インターや京都南インターを経由します。

京都東インターからの場合
国道1号線を大阪方面へ進んで「西大路五条」交差点から西大路通りを北上するルートです。
北上後は「西大路一条」交差点で左折し、さらに「仁和寺前」で右折すれば着きます。
所要時間は約30分です。
京都南インター経由の場合
国道1号線を北に向かい「京阪国道口」交差点で左折します。
次に国道171号線を進み、「西大路九条」交差点から西大路通りを経由し、「西大路一条」交差点で左折、さらに「仁和寺前」で右折すれば到着です。
所要時間は約35分になります。

駐車場情報

車で龍安寺へアクセスする場合、駐車場情報も欠かせません。山門近くには100台分の駐車場があり、最初の1時間は無料になります。なお西源院や菜の花を利用する場合は、2時間まで無料です。利用時間は拝観時間と同じになっています。

龍安寺の駐車場以外にも、龍安寺駅南駐車場を利用するのも手です。台数は6台で24時間営業、30分100円(夜間は60分100円)で利用できます。

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